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【コインランドリーは対象外に】中小企業経営強化税制の変更点を解説
投稿日:2023年02月22日
目次
1中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制とは
中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制とは、中小企業が設備投資によって経営力を強化することを後押しする制度です。
具体的に投資を行うと、投資した金額の一部または全額を特別償却または税額控除できるようになっています。
制度の対象になる投資を行うと、それぞれの制度で次のような税制優遇が受けられます。
・中小企業経営強化税制:100%即時償却または10%の税額控除
(資本金3,000万円超1億円以下の法人の場合は7%)
・中小企業投資促進税制:30%即時償却または7%の税額控除
(資本金3,000万円超1億円以下の法人の場合は30%即時償却のみ)
即時償却とは投資した金額を前倒しで経費計上することです。
つまり、中小企業経営強化税制を使用して設備投資した場合、投資した資産の全てを前倒しで全額経費計上することができます。
利益が出ているタイミングで本制度を利用すれば、大きな金額を経費計上できるので高い節税効果を得られます。
なお、即時償却の割合が低い中小企業投資促進税制は確認要件なしで適用されますが、中小企業経営強化税制の適用を受けるには、認定経営革新支援機関のサポートを受けながら経済産業局または対象資産について工業会の認定を受けなければなりません。
では、認定を受けるためにはどんな条件をクリアする必要があるのでしょうか?
2 中小企業経営強化税制の適用を受けるための条件
中小企業経営強化税制の適用を受けるための条件は次の3つです。
1.経営力向上計画を策定すること
2.青色申告書を提出する中小企業者であること
3.対象となる事業内容であること
それぞれの条件について詳しく解説していきます。
経営力向上計画を策定すること
中小企業経営強化税制の適用を受けるには、人材育成・コスト管理等のマネジメントの向上・設備投資など、自社の経営力向上のための計画である経営力向上計画を策定しなければなりません。
なお、計画書は税理士やコンサルタントなどの認定経営革新支援機関のサポートが必要です。
サポートが必要な事業者の方は、丸山会計事務所までお問い合わせください。
青色申告書を提出する中小企業者であること
中小企業経営強化税制は中小企業者しか適用を受けることができません。
中小企業者は以下のいずれかの事業者を指します。
・資本金額または出資金額が1億円以下の法人
・資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
・協同組合等
対象となる事業内容であること
中小企業経営強化税制は対象となる事業内容が詳細に定められています。
国税庁ホームページによると対象となる業種は次のとおりです。
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業
鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業
小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する飲食業については、生活衛生同業組合の組合員が営むものに限る)
一般旅客自動車運送業、海洋運輸業および沿岸運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業
こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸業
学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業
映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないものサービス業(他に分類されないもの))
参考:No.5434 中小企業経営強化税制|国税庁
3 中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制で対象となる設備投資
中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制の対象になる設備投資は次の設備です。
中小企業経営強化税制 | 建物付属設備(60万円以上)
機械装置 (160万円以上) 工具 (30万円以上) 器具備品 (30万円以上) ソフトウェア (70万円以上) |
中小企業投資促進税制 | 機械装置 (1台160万円以上)
測定工具・検査工具 (1台120万円、1台30万円以上かつ複数合計120万円以上) 一定のソフトウェア (1つ70万円以上、複数合計70万円以上) 貨物自動車(車両総重量3.5トン以上) 内航船舶(取得価格の75%が対象) |
対象となる投資は「中小企業の経営力をどのように向上させるか」という計画に必要なものであれば、幅広く対象になります。
以前から「経営の効率化のためにこんな設備投資をしたい」と考えていたようなものがあるのであれば、制度の対象となり、全額即時償却できるかもしれません。
4 税制改正による変更点
中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制は税制改正によって次の2点が変更となりました。
1.適用期限の延長
2.対象設備の見直し
税制改正による2つの変更点について詳しく解説していきます。
1.適用期限の延長
これまでは令和5年3月31日までが適用期限となっていましたが、この期限を2年延長して令和7年3月31日まで適用されるようになります。
「すぐには無理だけど、数年先に設備投資したい」と考えている中小企業者の方も期限延長によって、投資に対し税制優遇を受けられる可能性があります。
2.対象設備の見直し
今回の制度改正によって次の2つの業種は適用対象外となりました。
①コインランドリー業
②マイニング業(中小企業経営強化税制のみ除外)
これらの業種の用に供する資産で、その管理のおおむね全部を他のものに委託するものが除外されます。
これら2つの業種は他のものに委託して副業として営まれているケースが非常に多いため、制度から除外されました。
そのため今後も本業として営む場合には、本制度の対象となります。
なお、マイニング業に関しては除外されたのは中小企業経営強化税制だけで、中小企業投資促進税制に関しては除外の対象とされていません。
5.まとめ
中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制は、設備投資をするとその全部または一部を即時償却するか税額控除を受けられるため、これから設備投資を検討している中小企業者にとってはメリットがあります。
丸山会計事務所では中小企業経営強化税制の適用を受けるために必要な「経営力向上計画」の作成を支援します。検討されている方は、丸山会計事務所までお気軽にご相談ください。
この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。
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