その値段、なんとなくで決めていませんか?
投稿日:2026年06月29日

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。
原材料費は上がり続け、人件費も光熱費も右肩上がり。
「このままでは利益が残らない」と分かっていても、いざ値上げとなると「いくら上げればいいのか」「お客様が離れないか」と手が止まってしまう
――そんな経営者の方は少なくありません。
値決めが難しいのは、複雑な要素が絡むうえに、考え方そのものが何通りもあるからです。
本稿では、値決めを支える「3つのものさし」を整理し、勘に頼らずに値上げ幅を決めるための具体的な視点を、コスト・顧客心理・価格設計の3つの角度からお伝えします。
値上げは、ただ価格表を書き換える作業ではありません。
会社の利益を守り、お客様との信頼を保つための、れっきとした経営判断なのです。
目次
1. 値決めには「3つのものさし」がある
2. コストで「下限」を死守する
3. 顧客心理を味方につける値上げの見せ方
4. 値上げ幅は「ものさしの重ね合わせ」で決める
1. 値決めには「3つのものさし」がある
多くの経営者が、原価に一定の利幅を乗せて値段を決めています。
これは最も基本的なやり方ですが、それだけで決めると失敗しがちです。値決めには大きく3つの基準があります。
第一に、原価をもとに利益を確保する「コスト基準」。
第二に、ライバルや相場と見比べる「競争基準」。
第三に、お客様が感じる価値やお得感に着目する「顧客心理基準」です。
この3つはどれか一つだけでは不十分で、重ね合わせて初めて「納得感のある値段」になります。
コストだけ見れば安すぎて利益が出ず、競争だけ見れば消耗戦に陥り、心理だけ見れば原価割れに気づかない。
三方から眺めることが、値決めの基本姿勢です。
逆に言えば、この3つを意識するだけで、これまで「なんとなく」で決めていた値段に、確かな根拠が生まれます。
2. コストで「下限」を死守する
3つのうち、まず外してはならないのが「下限」を決めるコスト基準です。
ここで役立つのが限界利益という考え方。限界利益=売上高−変動費で、商品が一つ売れるごとに、固定費の回収と利益に回せるお金がいくら残るかを示します。
たとえば客単価3,000円、原価(変動費)2,000円なら、限界利益は1個あたり1,000円。
仕入が値上がりして原価が2,200円になれば、限界利益は800円に減ります。
もとの1個1,000円の利益水準を守るには、売価を3,200円に引き上げて初めて帳尻が合う計算です。
つまり「上がったコストは、必ず売価に反映する」
――これが利益を守る最低ラインであり、ここを割る値段は、どんな事情があっても避けるべき防衛線です。
3. 顧客心理を味方につける値上げの見せ方
下限を押さえたら、次は「いかに伝えるか」です。
同じ値上げでも、見せ方次第で受け止め方は大きく変わります。
たとえば「松・竹・梅」の3段階に分けると、売れ行きはおおむね3対5対2となり、真ん中の「竹」に集中します。
ここで思い切って上位の「松」プランを新設すると、相対的に「竹」が手頃に見え、その値上げが自然に受け入れられます。
また、2,000円を1,980円とする端数価格は割安感を生み、逆に、品質やブランドが価値の目安になる商品では、あえて高い価格を付ける「名声価格」が効くこともあります。
値上げは「我慢して受け入れてもらう」ものではなく、見せ方を設計して「納得して選んでもらう」ものなのです。
4. 値上げ幅は「ものさしの重ね合わせ」で決める
最後に大切なのは、全商品を一律で◯%上げる、という発想を捨てることです。
商品ごとに、コストで決まる「下限」と、お客様が許容する「上限」は異なります。
その幅の中で、競争の相場を見ながら、一品ずつ最適な価格を探っていく。
利益率の高い商品は思い切って、競争が激しい商品は慎重に――とメリハリをつければ、全体の利益を守りながら、お客様の離反も最小限に抑えられます。
値上げ幅は「勘」で決めるものではなく、3つのものさしを重ねて、論理的に導くものなのです。
当事務所のご支援について
当事務所では、毎月の試算表や決算書を「過去の成績表」で終わらせず、値決めや管理会計の視点から、次の一手を社長と一緒に考えるお手伝いをしています。
税務はもちろん、限界利益の把握から価格戦略の設計まで、数字を経営の意思決定につなげるご支援が私たちの役割です。
経営理念に掲げる「ともに未来を描く」の言葉どおり、社長お一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な経営判断を行うものではありません。実際のご判断に際しては、税理士・会計士等の専門家へご相談ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


