その値段、なんとなくで決めていませんか? ―― 正しい値決めを支える3つの問い
投稿日:2026年08月28日

おはようございます。
朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。
原材料費も人件費も上がり続けるなか、「この商品、結局いくらで売ればいいのか」と頭を抱える経営者は少なくありません。
相場を横目に、なんとなく他社に合わせる。あるいは前年どおりに据え置く。そのやり方では、気づかないうちに利益が細っていきます。
実は「正しい値決め」は、勘やセンスの問題ではありません。
順番に3つの問い――「いくらで売れば利益が出るか」「いくらなら売れるか」「決めた値段をどう見直すか」――に答えていくと、根拠のある価格が見えてきます。
今日は、その足元を支える視点を整理します。
【目次】
1. いくらで売れば利益が出るのか ―― 限界利益で足元を固める
2. いくらなら売れるのか ―― お客様の「値ごろ感」を測る
3. 決めた値段をどう見直すか ―― 安直な値下げの怖さ
4. 値決めは、管理会計とセットで考える
1. いくらで売れば利益が出るのか ―― 限界利益で足元を固める
値決めの出発点は、「この商品を1個売るごとに、いくら手元に残るか」を掴むことです。
コストには、売れば売るほど増える変動費(材料費や仕入れなど)と、売上に関係なくかかる固定費(家賃や人件費など)の二種類があります。
ここで大切なのが、売価から変動費を引いた「限界利益」です。
たとえば売価1,000円の商品で、材料費など変動費が600円なら、限界利益は400円(限界利益率40%)。
固定費が月200万円かかるなら、200万円÷400円で、5,000個売ってようやく損益ゼロ(損益分岐点)になります。
管理会計のMQ会計で表すと、P(売価)=V(変動費)+M(1個あたりの限界利益)、そのM×Q(数量)から固定費Fを引いた残りがG(利益)です。
値上げは、このMを直接押し上げます。
まずは自社の変動費と固定費を分け、商品1個あたりの限界利益を把握する。
これが分からないままでは、値上げも値下げも「勘」になってしまいます。
2. いくらなら売れるのか ―― お客様の「値ごろ感」を測る
いくら利益が欲しくても、お客様が納得しない値段では売れません。
価格の上限は、原価ではなく「お客様が感じる価値」で決まります。
たくあんのような日常的な食品は、数十円の差でも敬遠されるほど価格に敏感です。
一方で、贈答品や専門性の高いサービスは、多少高くても「これなら」と選ばれます。
同じ原価の商品でも、用途と相手によって、払ってもらえる上限は大きく変わるのです。
競合の価格だけを基準にするのではなく、「お客様はこの商品を何と比べて、いくらなら高いと感じるか」を、お客様の頭の中で考えてみる。
その値ごろ感の幅の中で、できるだけ上を狙うことが、利益を残す値決めにつながります。
3. 決めた値段をどう見直すか ―― 安直な値下げの怖さ
一度決めた値段は、永遠ではありません。
コストが動けば見直すべきです。
ただし、安直な値下げは想像以上に危険です。
限界利益率40%の先ほどの商品を10%値下げすると、売価は1,000円から900円へ。
変動費600円は変わらないので、限界利益は400円から300円へと、実に25%も減ってしまいます。
元の利益を保つには、販売数を約1.33倍に増やさなければなりません。
数量割引も、浮くコスト以上に値引くと、かえって利益を減らします。
逆に10%値上げして限界利益が500円になれば、お客様が2割減っても、会社に残る利益はほぼ変わりません。
値下げや割引は「限界利益がいくら減るか」を必ず計算してから。
値上げ幅は、確保したい利益Gから逆算して決めるのが筋です。
4. 値決めは、管理会計とセットで考える
正しい値決めは、決算書を眺めているだけでは見えてきません。
決算書の「売上総利益」は会社全体の粗利であって、商品ごとの限界利益までは映し出さないからです。
変動費・固定費の分解や、限界利益という管理会計の視点が、値決めの土台になります。
月次で商品別・取引先別に限界利益を追いかけると、「売れているのに、なぜか儲からない商品」が浮かび上がってきます。
値決めの前に、自社の数字を管理会計の目で整理しておく。
ここが整えば、値上げの理由を社内外に説明するときも、自信を持って伝えられます。
当事務所では、税務申告にとどまらず、変動費と固定費の分解や商品別の限界利益の見える化といった管理会計のサポートを通じて、根拠のある値決めをご一緒に考えています。
私たちの経営理念は「ともに未来を描く」。値段は、会社の未来を左右する大切な経営判断です。
数字の裏づけを持って値決めをしたい、値上げの一歩を踏み出したいという方は、ぜひ一度ご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な経営判断を行うものではありません。実際のご判断に際しては、税理士・会計士等の専門家へご相談ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


