同じ商品なのに、なぜ1000円で売れるのか?──価格競争から抜け出す3つの視点

投稿日:2026年07月13日

同じ商品なのに、なぜ1000円で売れるのか?──価格競争から抜け出す3つの視点

おはようございます。

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。

 

原材料費も人件費も上がり続け、利幅はじりじりと削られていく。

それでも「値上げを切り出せば、お客様が離れてしまうのではないか」――そんな不安から、つい値引きで仕事をつないでしまう。

これは多くの中小企業の経営者に共通する悩みです。

けれども、価格競争とはまったく無縁の世界で堂々と利益を上げている会社も存在します。

 

今回は、①価格を「コスト」ではなく「価値」で決める発想、②値引きを求められない差別化のつくり方、③顧客満足と管理会計の数字でそれを裏づける視点、という3つを整理します。

【目次】

1. 「コスト」で決めるか、「価値」で決めるか

2. 値引き要求の正体は「差別化の不在」

3. 顧客満足は引き算で決まる

4. 値決めを利益に変える管理会計の視点

1. 「コスト」で決めるか、「価値」で決めるか

あるラグジュアリーホテルのルームサービスで運ばれてくるコーラは、一杯1,035円

中身はディスカウントストアで数十円で売られているものとまったく同じ液体です。

それでもお客は値引きを求めません。

最適な温度に冷やされ、ライムと氷を添え、銀の盆にグラスで供される――その「心地よい体験」にこそ価値を感じているからです。

 

液体そのものを売るのが「プロダクトセリング」

同じ商品が他にもあるため、お客様は必ず値引きを求めてきます。

そこでは規模の大きい会社ほど原価を下げられて有利になり、際限のないコスト削減競争に陥ります。

 

一方、他では得られない体験を売るのが「バリューセリング」

ここに価格競争は存在しません。

あなたの会社が売っているのは「モノ」でしょうか、それとも「体験・価値」でしょうか。

この問いが、値決めの出発点になります。

2. 値引き要求の正体は「差別化の不在」

では、どうすれば値引きを求められない存在になれるのか。

鍵は「バリュープロポジション」という考え方です。

これは、①顧客が望んでいて、②ライバルが提供できず、③自社が提供できる――この3つの円が重なる領域を指します。

 

多くの会社は、顧客が望む価値に自社の都合を無理やり重ねようとし、結果として価格に見合う差別化の理由を示せないまま、際限のない価格競争に突入して買い叩かれていきます。

逆に言えば、この3つの条件が重なる一点を見つけられれば、そこは値引きと無縁の領域になります。

値上げを切り出す前にまず問うべきは、「自社のどの価値が、この3つの円の重なりに入っているか」なのです。

3. 顧客満足は引き算で決まる

値上げが怖いのは、お客様の満足を損なうのではという不安があるからでしょう。

ここで役立つのが、顧客満足の方程式です。

 顧客が感じた価値 − 事前期待値 = 顧客満足

たとえばお客様の事前期待値が100のとき、提供した価値も100なら満足はゼロ。

しかし価値を200まで高めれば、満足は100生まれます。

 

注目すべきは、満足が「価値の絶対量」ではなく「期待値との差」で決まる点です。

つまり値上げの局面では、価格に見合うだけ「感じる価値」を上乗せすると同時に、過剰な「事前期待」をあおらないことが肝心になります。

価格を上げても、それを上回る価値の実感を届けられれば、満足はむしろ高まる。

値上げと顧客満足は、両立できるのです。

4. 値決めを利益に変える管理会計の視点

最後に、この発想を数字で裏づけましょう。

管理会計では、売価をP、一個あたり変動費をV、その差である粗利をM(=P−V)、数量をQ、固定費をF、利益をGと置き、PQ=VQ+F+G、すなわち「売上=変動費+固定費+利益」という関係でとらえます。

たとえば売価1,000円・変動費600円なら、粗利Mは400円。

月1,000個でMQ(粗利総額)は40万円、固定費30万円を引けば利益Gは10万円です。

ここで5%値引きして売価を950円にすると、Mは350円に縮み、MQは35万円、利益は5万円へと半減します。

逆に5%値上げして1,050円にすれば、Mは450円、MQは45万円、利益は15万円。

同じ数量でも利益は1.5倍です。

値引きと値上げが利益に与える影響は、想像以上に大きいのです。

「価値で売る」という発想を、この数字の裏づけとセットで持つことが、ぶれない値決めの土台になります。

おわりに

当事務所では、税務にとどまらず、MQ会計に基づく、値決めや管理会計を通じて「会社にきちんと利益を残す」ためのお手伝いをしています。

値上げの一歩を踏み出すべきか、どの商品から手をつけるべきか――迷われたときは、ぜひ一度ご相談ください。

私たちは経営理念「ともに未来を描く」のもと、数字の向こう側にある経営者の想いに寄り添い、価格と利益の戦略をともに考えてまいります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な経営判断を行うものではありません。実際のご判断に際しては、税理士・会計士等の専門家へご相談ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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