その値上げ、いくらまで許されますか? 利益から逆算する「正しい値決め」3つの視点

投稿日:2026年07月27日

その値上げ、いくらまで許されますか? 利益から逆算する「正しい値決め」3つの視点

おはようございます。

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。

 

「原材料も人件費も上がり続けているのに、値段はなかなか上げられない」——そんなご相談が、このところ本当に増えています。
競合の顔色をうかがい、“エイヤッ”で値札を書き換える。
けれど、いくら上げれば利益が残るのか、どこまで上げてもお客様は離れないのか、根拠を持って説明できる経営者はごくわずかです。
値決めは、勘や度胸で決めるものではありません。
数字で読み解ける「仕組み」があります。

 
今日は、①利益を予測する「限界利益」、②値上げ余地を測る「価格弾力性」、③選ばせ方を設計する「松竹梅の法則」、この3つの視点を整理します。

目次

1. 値決めの出発点は「限界利益」——利益は予測できる

2. どこまで上げられるか——「価格弾力性」で見抜く

3. 「松竹梅の法則」で利益率の高い一皿を選ばせる

4. 3つの視点を、自社の“値決めの仕組み”へ

1. 値決めの出発点は「限界利益」——利益は予測できる

値決めというと、まず原価に一定の利幅を乗せる「コストプラス法」を思い浮かべます。
もちろん出発点としては正しいのですが、これだけでは「この値段で本当に利益が残るのか」が見えません。
そこで役立つのが「限界利益」という考え方です。
限界利益とは、売上高から変動費(材料費や外注費など、売上に比例して増える費用)を差し引いたもの。
式にすると「限界利益=売上高−変動費」であり、同時に「限界利益=固定費+利益」でもあります。

 

たとえば売上高100・変動費50・固定費30の商品なら、限界利益は50、利益は20です。
ここで売上が2倍になると、限界利益は100に増える一方、固定費は30のまま。
利益は100−30=70へと、なんと3.5倍に跳ね上がります。
売上の伸び以上に利益が伸びる——この構造を押さえておくと、値決めの一円がどれだけ利益を左右するかが実感できます。
さらに「損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率」を使えば、最低いくら売れば赤字を脱するかも一発で計算できます。

2. どこまで上げられるか——「価格弾力性」で見抜く

「値上げしたらお客様が逃げるのでは」——値上げをためらう最大の理由がこれです。

ここで手がかりになるのが「価格弾力性」
価格の変化に需要がどれだけ反応するか、という尺度です。
反応が大きければ「弾力的」、小さければ値上げしても客離れが起きにくい、ということになります。

 

大事なのは、弾力性は商品そのもので決まるのではなく、置かれた状況で変わるという点です。
たとえば、①代替・競合商品が少ない、②たまにしか買わず価格変化に気づきにくい、③お気に入りで購買習慣を変えにくい、④材料高などで「値上げも仕方ない」と思ってもらえる——こうした条件がそろうほど、弾力性は小さくなります。
今まさに原材料高という④の追い風が吹いている局面は、値上げを受け入れてもらいやすいとも言えます。
自社の商品がどの条件に当てはまるかを一つずつ点検すれば、“上げてよい余地”が見えてきます。

3. 「松竹梅の法則」で利益率の高い一皿を選ばせる

値決めは「一つの値段」を決めるだけの作業ではありません。
複数の選択肢の見せ方で、利益はまだ伸ばせます。
その代表が「松竹梅の法則」です。
松・竹・梅と3段階の価格を並べると、売れ行きはおおむね3対5対2に落ち着く、というのが定説です。
つまり、多くのお客様は真ん中の「竹」を選びます。

 

ならば、利益率の高い商品を真ん中の「竹」に据えておけば——それだけで、全体の利益は着実に底上げされます。
安い「梅」を入り口に、高い「松」で価格の基準(アンカー)を示し、本命の「竹」へ誘導する。
単品でいきなり値上げを迫るより、選択肢の設計で自然に利益を確保するほうが、お客様の納得感も高いものです。

4. 3つの視点を、自社の“値決めの仕組み”へ

限界利益で「利益を予測し」、価格弾力性で「上げてよい余地を測り」、松竹梅で「選ばれ方を設計する」
この3つはバラバラの技ではなく、一つの“値決めの仕組み”としてつながっています。
勘や度胸に頼っていた値決めを、根拠のある経営判断へ——その入り口は、自社の数字を正しく把握することです。

 

当事務所では、日々の税務顧問にとどまらず、限界利益や損益分岐点といった管理会計の視点から、値決め・価格戦略のご相談にも伴走しています。
「その値段で、本当に利益は残っていますか?」という問いを、経営者お一人で抱え込む必要はありません。
私たちは経営理念「ともに未来を描く」のもと、数字を武器に、御社の次の一手をご一緒に考えます。
値上げに踏み切る前の“最後の一押し”を、ぜひお手伝いさせてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な経営判断を行うものではありません。
実際のご判断に際しては、税理士・会計士等の専門家へご相談ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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