その新規事業、「誰に任せるか」で決まる──既存事業のエースを外すべき理由

投稿日:2026年08月26日

その新規事業、「誰に任せるか」で決まる──既存事業のエースを外すべき理由

おはようございます。

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。

 

「新規事業がなかなか前に進まない」──そうご相談をいただくとき、話を伺っていくと、テーマや資金以前に“誰に任せているか”でつまずいているケースが驚くほど多いものです。
とりあえず社内で一番優秀な人材を担当に据えた。
既存業務と掛け持ちで走らせている。
責任者を任命したから、あとは任せきり。
いずれも中小企業でよく見かける光景ですが、新規事業では、この人選こそが成否を大きく分けます

 
本稿では、経営者が今日から見直せる「人選」の視点を三つに整理します。

目次

1.既存事業のエースが、新規事業のエースとは限らない

2.片手間では立ち上がらない──「専任」と「丸投げ禁止」

3.リーダーとメンバーは、何を基準に選ぶか

4.人選を「人材育成」と税務の両輪で仕組み化する

1.既存事業のエースが、新規事業のエースとは限らない

まず押さえたいのは、既存事業で優秀な人と、新規事業で力を発揮する人は、求められる資質が違うということです。
既存事業では、豊富な知識と正確な処理で成果を出す人が「優秀」とされます。
ところが新規事業には手引書も職務明細書もなく、常に前例のない判断を迫られます。
ここで効いてくるのは、知識の量ではなく、柔軟な発想で「知恵」を出せる力です。

 

実際、ある製造業では、営業経験のなかった社員が新規事業の担当となり、既存の常識にとらわれない動き方で顧客を切り拓いていった、という例もあります。
逆に、既存事業のやり方をそのまま持ち込むと、かえって足かせになることも少なくありません。
人選の第一の判断軸は、「知識のある人」ではなく「知恵を出せる人・失敗しても新しいことに挑む人」を選ぶこと。
ここを取り違えると、優秀な人材を配置したのに動かない、という典型的な失敗に陥ります。

2.片手間では立ち上がらない──「専任」と「丸投げ禁止」

次に多い失敗が、掛け持ちと丸投げです。
「本業のかたわらで新規事業も」と兼務させると、締め切りのある既存業務が必ず優先され、新規事業は後回しになります。
片手間でできるほど新規事業は甘くありません。
可能な限り専任化し、少なくとも立ち上げ期はそこに集中させることが、前進の最低条件です。

 

もう一つの落とし穴が、経営者による丸投げです。
「責任者を決めたから終わり」としてしまうと、人と金と時間の無駄遣いに終わりかねません。
中小企業ほど、トップ自身が第一線に関心を持ち、進捗を見て支える必要があります。
大切なのは「失敗してもいい、責任は自分がとる」という度量を経営者が示すこと。
失敗を恐れる空気の中では、担当者は思い切って挑戦できません。
任せることと放置することは、まったく別物です。

3.リーダーとメンバーは、何を基準に選ぶか

専任のチームを組むとき、リーダーとメンバーで見るべき点は異なります
リーダーに求めたいのは、技術力よりもメンバーへの思いやり、いわば人的配慮です。
厳しい開発の現場で優秀な人材が次々に辞めていくようでは、事業そのものが傷つきます。
加えて、大局的に物事を見て「知恵」を出せること、社内外の限られた経営資源を上手く組み合わせられることが求められます。

 

メンバーに求めたいのは、やり遂げる強い意志と、粘り強くあきらめない姿勢、そして人とは違う発想で「まずやってみる」実行力です。
反対に、できない理由の説明が上手な人は、この職務にはあまり向きません。
人選の物差しをこの二層で持っておくと、社内のしがらみに引きずられず、判断の迷いが減ります。

4.人選を「人材育成」と税務の両輪で仕組み化する

突き詰めれば、新規事業開発とは人材育成そのものです。
難問を解決していく過程で人が育ち、その人がまた次の事業の種を生む。
だからこそ人選は一度きりの配置ではなく、育成・評価・処遇まで含めた仕組みで支える必要があります。
挑戦した人が報われる人事制度がなければ、二人目の担い手はなかなか現れません

 

そしてこの局面は、税務とも接点があります。
研究開発を伴う新規事業であれば、担当者の人件費が試験研究費税額控除の対象になり得ます。
人への投資という点では、賃上げ促進税制における教育訓練費の上乗せ措置も視野に入ります。
さらに、立ち上げ期に生じた赤字は欠損金の繰越控除によって将来の黒字と相殺でき、事業が軌道に乗ったときの税負担をならすことができます。
人選と育成にかけたコストを、税制面からも後押しできる余地があるのです。

おわりに

当事務所では、月々の顧問業務を通じて数字を見るだけでなく、「この事業を誰に任せるか」「いつ攻めて、いつ引くか」といった経営判断の壁打ち役として、事業計画づくりをご支援しています。
試験研究費税額控除や欠損金の活用も含め、挑戦を数字と制度の両面から支える。
私たちが大切にしている経営理念は「ともに未来を描く」ことです。
新規事業の入り口で立ち止まっているなら、まずは人選の見直しから、ご一緒に整理してみませんか。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な経営判断を行うものではありません。
実際のご判断に際しては、税理士・会計士等の専門家へご相談ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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