その新規事業、本当にゼロから始める必要がありますか──社内に眠る資産から育てる3つの視点

投稿日:2026年07月04日

その新規事業、本当にゼロから始める必要がありますか──社内に眠る資産から育てる3つの視点

おはようございます。

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。

 

新しい収益の柱がほしい。

そう考えたとき、多くの経営者は「これまでと全く違う、新しい何か」を社外に探し始めます。

けれど、思いつきで畑違いの分野に飛び込み、人も資金も足りないまま消耗していく

――そんな多角化の失敗は、経営資源の限られる中小企業でこそ起こりがちです。

完全な新規性を狙う事業は、開発にも市場への浸透にも莫大なコストがかかります。

実は、次の事業の種は外ではなく、すでに自社の中に眠っていることが少なくありません。

 

今日は、社内の資産を起点に新規事業を育てるための「3つの視点」と、それを支える税務の備えを整理します。

【目次】

1. まず自社の「強み(資産)」を棚卸しする

2. 資産を「誰のどんな不安」に結びつけるか

3. 自前主義を捨てる──スピードとアライアンス

4. 立ち上げ期を支える税務の備え

1. まず自社の「強み(資産)」を棚卸しする

新規事業の第一歩は、奇抜なアイデア探しではなく、既存事業の強みを突き止め、とらえ直すことです。

ある大手損害保険会社は、自動車保険で全国シェアの約3分の1という「契約データ」と、約5万店に及ぶ代理店ネットワークを持っていました。

年間4000万件の郵送物、つまり2000万人規模の顧客接点です。

同社はこのリアルな資産を起点に、わずか2年で6つの新規事業を立ち上げました。

技術の転用も同じ発想です。

写真フィルム大手が、フィルム開発で培った化学技術を化粧品市場へ展開した例はよく知られています。

「うちには大した強みなどない」と感じる経営者ほど、顧客名簿、職人の技術、仕入れ先との信頼、地域での評判といった資産を見落としがちです。

まず問うべきは、ただ一つ。

自社の強みは何か」です。

2. 資産を「誰のどんな不安」に結びつけるか

資産が見えたら、次は「いま社会が広く抱える課題」に目を向けます。

先の保険会社のカーシェアやカーリース事業は、「若者のクルマ離れ」「老後2000万円問題」といった人々の不安が背景にありました。

大切なのは、社会課題の解決とは、そのまま新規事業の利用者にとってのメリットになる、という視点です。

ここで陥りやすいのが、課題を表面のまま受け取ること。

「若者はクルマに魅力を感じない」のではなく、本当は「ほしいがお金がない」のかもしれません。

「なぜ?」「本当にそうか?」を繰り返すほど、本質に近づきます。

新規事業の構想では、利用者が自社の都合よく動いてくれると考えがちです。

この問い直しの一手間こそが、机上の空論と現実とを分けます。

3. 自前主義を捨てる──スピードとアライアンス

ただし、同業他社が持つ資産は、たいてい自社と似たり寄ったりです。

だからこそ、先んじて動く「スピード」が決定的に効きます。

「すぐやる」、そして反響を見ながら短い周期でPDCAを回す。

これが基本姿勢です。

そのうえで、足りない資産は自前で抱え込まず、他社とのアライアンスで補います。

先の保険会社も、カーシェア事業はIT企業との合弁で立ち上げ、駐車場シェア事業は約34%を出資してグループ会社化することで、ゼロから作るより格段に速く形にしました。

結果として、提携先の駐車場の約半数を自社の営業網経由で獲得しています。

経営資源の限られる中小企業ほど、自前主義を手放す勇気が武器になります。

組む相手とは、規模よりもビジョンを共有できるかを最優先に見極めてください。

4. 立ち上げ期を支える税務の備え

最後に、意思決定とセットで考えたい税務の備えに触れます。

新規事業の研究開発で発生した費用は、一定の要件を満たせば試験研究費の税額控除の対象になり得ます。

立ち上げ初期に避けがたい赤字も、青色申告であれば欠損金として繰り越し、黒字化した後の税負担を和らげられます。

さらにアライアンスやM&Aで他社の資産を取り込む際は、組織再編税制や中小企業向けの優遇措置の有無が、進め方そのものを左右します。

税務は事業判断の後追いで処理するものではなく、判断と並走させるほど効いてくる、というのが現場の実感です。

おわりに

当事務所では、月々の顧問業務にとどまらず、事業計画づくりや新規事業の意思決定の壁打ち役までご一緒します。

数字の裏付けと経営判断の両面から、社長の「次の一手」を後押しするのが私たちの役割です。

掲げる経営理念「ともに未来を描く」のとおり、目の前の税務だけでなく、未来の収益の柱づくりまで伴走したいと考えています。

新しい挑戦を考え始めたら、どうぞお気軽にご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な経営判断を行うものではありません。実際のご判断に際しては、税理士・会計士等の専門家へご相談ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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