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DX投資促進税制とは?制度の概要と期限延長に伴う変更点を解説

投稿日:2023年03月01日

会社をDX化させるための投資を行う際に税額控除や特別償却などの措置を受けられる税制がDX投資促進税制です。

DX投資促進税制は2023年3月末に期限を迎えますが、「2023年度税制改正大綱」において、2025年3月末まで延長されることになりました。

延長に伴い、税制の適用を受けられる要件も一部変更になりました。

DX投資促進税制の概要や、期限延長に伴う変更点などを詳しく解説していきます。

 

DX投資促進税制とは?

DX投資促進税制とは、企業がDXに対する投資を行った場合に、その投資額に関して「特別償却」あるいは「税額控除」にて税金の優遇を受けられる制度です。

 

DXとは

経済産業省はDXについて以下のように説明しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

単なるデジタル化、IT化ではなく、企業全体の業務プロセスを改善し、他社との競争で優位性を確保していく目的で、データとデジタル技術を活用することがDXだと考えればよいでしょう。

 

DX投資促進税制とは

DX投資によって特別償却または税額控除を受けるには、DX認定を受けてから事業適応計画を作成して申請する必要があります。

DX認定を受けるためには「デジタル要件(D要件)」と「企業変革要件(X要件)」の2つを満たさなければなりません。

それぞれの認定要件について詳しく見ていきましょう。

 

デジタル要件(D要件)

デジタル要件とは次の条件に該当する投資を行うことです。

データ連携 社外のデータまたは新たに取得するデータと、既存の内部データを連携させなければならない
クラウド技術の活用 社外のクラウド技術を用いたITサービスを活用するか、自社のクラウド技術を活用する
情報処理推進機構が審査する「DX認定」の取得

 

 

 

2024年4月1日から

1.       情報処理推進機構が審査するDX認定の取得(レガシー回避・サイバーセキュリティ等の確保)

2.     現行に追加で、DX認定の取得にデジタル人材育成・確保を要件化

 

 

 

企業変革要件(X要件)

企業変革要件では計画の実施期間が5年以上であることに加えて、投資が次の条件に合致したものでなければなりません。

なお、税制改正によって条件が変わっている部分があるので、この点は併記しておきます。

 

生産性向上または売上上昇が見込まれること

(2023年3月31日まで)

 

売上高の向上

(2023年4月1日から)

ROA(総資産利益率)や売上高伸び率の上昇など

 

 

売上高が10%以上増加する見込みであること

前向きな取り組み

(2023年3月31日まで)

 

 

 

 

 

 

海外売上高

(2023年4月1日から)

情報技術事業適応の内容が「計画期間内で商品1単位当たりの製造原価が8.8%以上削減される」などといった指標を満たしている。

 

 

 

対象となる事業の海外売上高の比率が一定割合以上となること

全社の意思決定に基づくもの 全社意思決定に基づくもの(取締役会の決議文書の添付など。)

 

なお、令和5年3月31日迄に取得したDX認定に基づいて、令和5年4月1日以降の対象資産を取得する場合には、本制度の対象外となりますので注意が必要です。

 

対象となる投資

DX投資促進税制で対象になる投資は次のようなものです。

  1. ソフトウェア:取得・製作いずれも可
  2. 繰延資産:クラウド技術を活用したシステムへの移行費用
  3. 有形固定資産:取得・製作する機械装置で、上記のソフトウェアや繰延資産と連携するもの

 

税制優遇の内容

DX投資促進税制の対象になると受けられる税制措置の内容は次のとおりです。

投資をした設備 税額控除 特別償却
・ソフトウェア

・繰延資産

・器具備品※1

・機械装置※1

 

※1ソフトウェア、繰延資産と連携するものに限る。

3%※2

(グループ外の他の法人ともデータ連携や共有する場合は5%)

 

※2控除上限額は「カーボンニュートラル税制」によって控除を受けた額と合算して法人税額の20%)

 

30%

 

 

投資上限額

DX投資促進税制における投資上限額は次のようになっています。

  1. 投資額上限:300億円(投資額が300億円を上回る場合は300億円までが控除の対象)
  2. 投資額下限:国内の売上高0.1%以上

投資金額上限300億円は、計画の認定の要件ではなく、あくまで本税制措置による特例の計算の基礎となる投資 額の最大値を表すものです。このため、400億円の投資計画であっても認定を受けることはできますが、本 税制措置の適用に当たっては、特別償却限度額又は税額控除限度額は300億円を基礎として計算さ れます。なお下限金額については、設備毎に設定されているものでは無く、計画全体で判断を行います。また、本来事業適応計画が認定されているため投資金額が当初の予定を下回ることはありませんが、災害などにより延期、注意などにより投資金額が下回ってしまう場合には個別事情としての判断となります。

 

DX投資促進税制の手続きの流れ

DX投資促進税制の適用を受けるには次の手続きを行わなければなりません。

  1. 情報処理推進機構からDX認定を受ける
  2. 主務官庁への事前相談
  3. 計画の申請・適合性確認申請
  4. 事業適応計画の認定(認定書・確認書の発行)
  5. 事業適応計画の実施
  6. 税務申告
  7. 事業適応計画の報告(報告書の提出)

一般的にはDX認定を受けるまでには4ヶ月程度、主務官庁への相談から計画の作成・認定まで3ヶ月程度の時間がかかります。

DX認定を受けて、実際にDX投資促進税制の適用を受けるまでには、半年以上の時間が必要です。

早めに準備しておきましょう。

 

DX認定を受けるための要件

DX投資促進税制の適用を受けるためにはDX認定を受けなければなりませんが、DX認定を受けるためには、国が定めた「デジタルガバナンス・コード」の中の「基本的事項」に対応しなければなりません。

デジタルガバナンス・コードの基本的事項には次のような項目があります。

  1. ビジョン・ビジネスモデル
  2. 戦略
    ①組織づくり・⼈材・企業⽂化に関する⽅策
    ②IT システム・デジタル技術活⽤環境の整備に関する⽅策
  3. 成果と重要な成果指標
  4. ガバナンスシステム

ITやデジタル技術活用だけでなく、会社全体のビジネスモデルまで広範囲にわたってデジタルガバナンスコードを定めなければならないことがわかります。

 

DX認定申請に必要な書類

最後にDX認定申請する際に必要になる主な書類をご紹介しておきます。

  1. 定款の写し
  2. 事業報告の写し
  3. 貸借対照表
  4. 損益計算書
  5. 生産性の向上又は需要の開拓について
  6. 財務内容の健全性の向上について
  7. 経営の方針の決議又は決定の過程について
  8. 計画の実施に必要な資金の使途及びその調達方法の内訳について
  9. 暴力団排除に関する制約事項
  10. 前向きな取組の根拠(成長発展事業適応または情報技術事業適応に関する計画に限る)
  11. 「データ連携」および「クラウド技術の活用」について(情報技術事業適応に関する計画に限る)
  12. 第三者機関による認証(エネルギー利用環境負荷低減事業適応を行うものが金融支援を受けようとする場合に限る)
  13. 融資計画(利子補給制度を受けようとする場合に限る)

 

まとめ

会社をDX化するための投資は、DX 投資促進税制によって特別償却または税額控除を受けられる可能性があります。

適用を受けるためには、ガバナンスコードを設定してDX認定を受け、事業適応計画の認定を受け、税務申告書に資料一定の資料の添付を行う必要があります。

非常に専門的な知識が必要になるので、DX投資促進税制について知りたい方は丸山会計事務所までお気軽にご相談ください。

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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