お客様の頭に、真っ先に浮かびますか──選ばれ続ける新規事業をつくる3つの視点

投稿日:2026年06月27日

お客様の頭に、真っ先に浮かびますか──選ばれ続ける新規事業をつくる3つの視点

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。

「良いものを作れば売れる」

――そう信じて磨き上げた新規事業が、なぜか振り向いてもらえない。

あるいは、思いつきで隣の市場へ多角化したものの、どの分野でも“その他大勢”に埋もれてしまう。

中小企業の新規事業で本当によく起きる、もったいない失敗です。

 

原因の多くは、商品の質ではなく「お客様の頭の中での位置取り」にあります。

人が一つの分野で思い出せる会社や商品は、せいぜい二つ、多くて三つ。

四番手以降は、残念ながら存在しないのとほぼ同じです。

今日は、選ばれ続ける会社になるための三つの視点を整理します。

目次

1. なぜ「四番手」は選ばれないのか

2. 顧客起点で価値を組み立てる四つの問い

3. 「決め打ち」で滑らないための判断軸

4. 仕込みを軽くする税務の前提

1. なぜ「四番手」は選ばれないのか

人は「○○と言えば?」と問われたとき、思い浮かべるのは二つか三つです。

既存の市場で四番手、五番手に食い込んでも、そもそも思い出してもらえなければ価格競争に巻き込まれ、消耗していくだけです。

ここで発想を変えたいのが、「既存の土俵で一番になれないなら、新しい土俵そのものを自分で作って一番になる」という考え方です。

 

「消せるボールペン」や「食べるラー油」を思い出してください。

どちらも既存の市場で順位を争うのではなく、新しい呼び名=新しいカテゴリーを生み出し、その一番手の座を取りました。

ここで陥りやすいのが「自社起点の罠」です。

「うちができること」を全部詰め込んだ立派なカテゴリーを作ろうとする。

 

実際、こうしたプロジェクトの半数以上がここでつまずくと言われます。

カテゴリーは自社の都合ではなく、お客様の頭の中に浮かぶ範囲でしか作れない、とまず押さえておきたいところです。

2. 顧客起点で価値を組み立てる四つの問い

では具体的にどう作るか。順番に四つの問いを立てます。

 

第一に、お客様自身も諦めている「潜在課題」は何か。本人すら言葉にできていない「不」を掘り起こします。

第二に、競合が出せない「独自価値」は何か。主語はあくまでお客様で、しかも「確かに得られる」というリアリティ(信頼できる根拠)が必要です。

第三に、その価値を一言で思い出せる「キーワード」は何か。

第四に、直感で価値が伝わる「イメージ」をどう描くか。

たとえば「一流の料理を立ち食いで安く」と打ち出した飲食店や、「音楽を聴きながら周囲の音も聞こえる」骨伝導イヤホンは、お客様が諦めていた不を言語化し、新しい価値に変えた例です。

 

注意したいのは「顧客不在の罠」。専門用語でカテゴリー名を付け、肝心のお客様が思い出せない言葉になっていないか。

「狙う相手は、本当にその言葉で思い出すだろうか」と問い直す習慣を持ちたいところです。

3. 「決め打ち」で滑らないための判断軸

カテゴリー選びは、会社の将来の方向を決める重い意思決定です。

だからこそ、経営会議の多数決で「えいや」と決めてしまう“カテゴリーギャンブル”は避けたい。

有力な仮説が複数あるなら、お客様との接点で定性的に検証します。

その言葉を伝えたとき、相手が思い出せるか、理解できるか、自分の言葉で語れるか

――そこを見極めるのです。

 

撤退や見直しの判断軸も、先に決めておきましょう。

よくあるのが「イノベーターの罠」です。

新しいもの好きの一部の人に刺さったことで成功と勘違いし、その先の多数派に広がらない。

広がらないなら、言葉を磨き直すのか、撤退ラインを引くのか。さらに、せっかく作ったカテゴリーも、資本力のある後発に奪われることがあります。

データや販路など「奪われにくい資産」を握れるかどうかも、続けるか否かの判断材料です。

撤退ラインは「本業キャッシュフローの何%まで」「何カ月で多数派に届かなければ」と、必ず数字で線引きしておくと、判断の遅れを防げます。

4. 仕込みを軽くする税務の前提

最後に、税務を「事業の後始末」ではなく「前提」として組み込む視点です。

新しいカテゴリーを生むための研究開発でかかった人件費・原材料費・委託研究費は、試験研究費の税額控除の対象になり得ます。

中小企業は控除率が優遇されており、挑戦の追い風になります。

立ち上げ期はどうしても赤字が先行しますが、青色申告であれば欠損金を最長十年繰り越し、将来の利益と相殺できます。

事業の切り出しや再編を伴う場合は、組織再編税制の要件を満たせば課税を繰り延べられることもあります。

制度を知らずに走ると取り戻せない差が出る一方、前提に織り込んでおけば、同じ挑戦でも手元に残るお金が変わってきます。

おわりに

当事務所では、月次の顧問業務を通じて数字を整えるだけでなく、新規事業の事業計画づくりや、その一歩手前の「このカテゴリーで本当に勝てるのか」という壁打ちのお相手まで、伴走しています。

私たちは「ともに未来を描く」を理念に掲げています。税金の計算は、その未来を形にするための一部分にすぎません。新しい一歩を踏み出すかどうか迷っているなら、まずは判断軸の整理からお手伝いします。

どうぞお気軽にご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な経営判断を行うものではありません。実際のご判断に際しては、税理士・会計士等の専門家へご相談ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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