自社株を信託で承継 認知症・争族に負けない5つの備え

投稿日:2026年07月24日

自社株を信託で承継 認知症・争族に負けない5つの備え

朝4時起きの税理士、丸山です。

本日は「自社株を信託(しんたく)で承継する方法」についてお話しします。

 

「事業承継の対策といえば、事業承継税制(納税猶予)でしょう?」——そう考えている経営者は少なくありません。

しかし現場で20年以上向き合ってきて感じるのは、多くの中小企業にとって本当の壁は“税金”ではなく“株そのものが動かせなくなること”だという事実です。

オーナー社長が認知症になった瞬間、自社株の議決権は事実上凍りつき、増資も役員変更も、会社の重要な意思決定が何ひとつ進まなくなります

 

今日は、その最悪の事態を先回りで防ぐ「信託」という一手を、5つの備えに整理してお伝えします。

備え①:認知症で自社株が“凍る”リスクを直視する

厚生労働省の推計では、高齢者の約5人に1人が認知症になるとされています。
オーナー経営者も例外ではありません。

 

判断能力が失われると、本人名義の株式は議決権を行使できず、贈与も売却もストップします
後継者に株を渡そうにも「本人の意思確認ができない」ため、成年後見人を立てても家庭裁判所は資産の積極的な活用を認めにくいのが実情です。

 

たとえば発行済株式の8割を握る会長が倒れれば、株主総会は定足数を満たせず、後継社長の選任すら宙に浮きます
黒字なのに何も決められない“経営の空白”——これこそ最優先で避けたいリスクです。

備え②:「遺言代用信託」で議決権を先に託す

ここで有効なのが民事信託(家族信託)です。
オーナー(委託者)が自社株を後継者(受託者)に信託し、当面の配当を受け取る権利(受益権)は自分に残す。

 

この「遺言代用信託」を使えば、オーナーが元気なうちに株の管理と議決権行使を後継者へ託せます。
認知症になっても議決権は受託者が行使できるため、会社は止まりません
しかも受益権は手元に残るので、生前の生活資金や配当は従来どおり確保できます。
経営はバトンを渡すが、財産はまだ手放さない”——このいいとこ取りができるのが信託の第一の強みです。

備え③:「受益者連続信託」で二代先まで指定する

「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」を組めば、次は長男、その次は孫へ と二代先までの承継順序を指定できます

 

遺言では原則として一代先の承継しか指定できません
たとえば「長男に継がせたいが、長男に子がいないので最終的には次男の子(孫)へ戻したい」といった複雑な想いも、信託なら設計図に落とし込めます。

 

オーナーの“家業を残したい”という意志を、世代を超えて縛りをかけて実現できる——これは他の手法にはない信託ならではの機能です。

(※ただし、信託設定時から30年を経過した以降に発生する承継には一定の期間制限がある点には注意が必要です。)

備え④:議決権と財産価値を“分けて”争族と節税に効かせる

信託のもう一つの妙は、経営権(議決権)と財産的価値(受益権)を切り離せる点です。

 

議決権は後継者に集中させつつ、受益権は後継者と他の兄弟で分ける設計にすれば、“会社は継がせるが財産は公平に”という争族対策の選択肢となります。

 

ただし、非上場株式の受益権は配当がなければ換金性が低いため、受け取った兄弟が納得するか(税金だけ負担することにならないか)は慎重な設計が求められます。

 

加えて受益権を計画的に贈与すれば、暦年贈与の110万円枠や、新しく年110万円の基礎控除が追加された相続時精算課税の2,500万円枠を使いながら、株価の低いうちに価値を移転できます
仮に自社株評価が今3,000万円でも、業績好調で5年後に5,000万円へ上がるなら、今動くだけで2,000万円分の評価上昇を先取りで回避できる計算です。

 

株価が上がる前に動くほど有利——まさに“攻めの承継”です。

備え⑤:丸山会計と「渡す順番」まで一緒に設計する

信託は万能ではありません。
設計を誤れば受益者に想定外の課税が生じたり、税務署に否認されたりするリスクもあります。

 

だからこそ、税務・法務・ご家族の想いを一体で組み立てる専門家の伴走が欠かせません。
丸山会計事務所は、単なる申告代行ではなく「誰に・いつ・どの順番で・いくらで渡すか」まで踏み込む提案型の“攻める税理士”です。
節税効果以上の報酬がかかる提案はしない方針のもと、経営理念『ともに未来を描く』の通り、ご家族が10年後・20年後も笑顔でいられる承継の設計図を、経営者とともに描いていきます

まとめ

事業承継の本当のリスクは、税金より「株が動かせなくなること」です。
認知症や争族で会社が止まる前に、信託を使って議決権と承継順序を先回りで固めることが、攻めの承継の第一歩になります。
自社株の評価が上がりきる前の“今”こそ、動き出す最良のタイミングです。
まずは自社株の現状評価と家族関係の棚卸しから、ご一緒に始めましょう。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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