値上げ5%で利益倍増?MQ会計でわかる「利益感度」の恐ろしい真実
投稿日:2026年05月17日

名古屋の朝4時起きの税理士の丸山です。
「売上は伸びているのに、なぜかお金が残らない」
最近、このような相談が非常に増えています。
特に中小企業では、
- 人件費の上昇
- 原材料価格の高騰
- 広告費の増加
- 採用コストの上昇
によって、昔よりも「利益が残りにくい時代」になりました。
その結果、多くの会社が、
- もっと集客しよう
- 客数を増やそう
- 広告を強化しよう
という方向に進みます。
しかし、MQ会計で分析すると、
実は「客数アップ」よりも、
「ほんの少しの値上げ」のほうが、
圧倒的に利益へ効くことが分かります。
今回は、MQ会計の「利益感度分析」を使いながら、
- なぜ値上げが最強なのか
- なぜ集客だけでは苦しくなるのか
- 社長が本当に見るべき数字は何か
を、事例を交えながら分かりやすく解説します。
「売上を増やせば儲かる」は本当か?
多くの経営者は、
「利益を増やすには売上を増やすしかない」
と思っています。
もちろん間違いではありません。
しかし問題は、
「売上を増やすコスト」が昔より激増していることです。
例えば飲食店を考えてみましょう。
以前はチラシを配れば集客できました。
しかし現在は、
- Instagram広告
- Google広告
- グルメサイト掲載
- SNS運用
- 人材採用
など、集客コストが非常に高くなっています。
つまり、
「売上を増やすための費用」も同時に増えているのです。
その結果、
「売上は増えたのに利益は増えない」
という現象が起きます。
事例①
売上1億円でも苦しい会社
例えば、次のような会社があったとします。
- 売上高:1億円
- 原価:6,000万円
- 粗利:4,000万円
- 固定費:3,500万円
- 利益:500万円
一見すると、
「売上1億円だから立派な会社」
に見えるかもしれません。
しかし利益率はたった5%です。
ここで社長が、
「利益をあと500万円増やしたい」
と思ったとします。
つまり、
- 現在利益:500万円
- 目標利益:1,000万円
にしたいわけです。
では、どうすればよいのでしょうか。
MQ会計では「利益の動き方」を見る
MQ会計では、
利益を次の4つの要素で考えます。
- P:価格
- Q:数量
- V:原価
- F:固定費
そして重要なのは、
「どの要素が一番利益に効くのか」
を分析することです。
これを「利益感度分析」と呼びます。
利益感度とは何か?
利益感度とは、
「どれくらい動かせば利益が変わるのか」
を見る指標です。
例えば、
- 価格を何%上げればよいのか
- 客数を何%増やせばよいのか
- 原価を何%下げればよいのか
を一瞬で計算できます。
MQ会計では、
次の「速算法」を使います。
利益感度の速算法
P(価格)の利益感度
利益 ÷ 売上高(PQ)
Q(数量)の利益感度
利益 ÷ 粗利総額(MQ)
V(原価)の利益感度
利益 ÷ 原価総額(VQ)
F(固定費)の利益感度
利益 ÷ 固定費(F)
ここで非常に重要なのは、
「数字が小さいほど利益への影響が大きい」
という点です。
つまり、
最も小さい数字になる要素が、
最も利益を動かしやすいということです。
事例②
値上げだけで利益倍増?
先ほどの会社で、
利益を500万円増やしたい場合を考えます。
現状
- 売上高:1億円
- 利益:500万円
増やしたい利益は500万円です。
ここでP感度を計算すると、
500万円 ÷ 1億円 = 5%
となります。
つまり、
「たった5%の値上げ」
で利益が倍になるのです。
これは非常に衝撃的です。
「客数を増やす」はどれくらい大変か?
では次に、
Q(数量)で利益を増やす場合を見ます。
計算式は、
500万円 ÷ 粗利4,000万円
です。
すると、
12.5%
となります。
つまり利益を倍にするには、
「客数を12.5%増やす」
必要があります。
事例③
飲食店で考えると恐ろしい
例えば月間来店客数が4,000人の飲食店なら、
12.5%増やすには、
4,500人
まで増やさなければなりません。
つまり毎月500人増です。
1日あたり約17人増やす必要があります。
しかも現在は、
- 求人難
- 人件費高騰
- 食材高騰
があります。
客数を増やせば、
現場負担も増えます。
さらに広告費も必要です。
つまり、
「数量アップ」は、
思っている以上に大変なのです。
事例④
固定費削減は本当に現実的か?
次に固定費です。
計算すると、
500万円 ÷ 3,500万円 = 14.3%
となります。
つまり利益倍増のためには、
固定費を14.3%削減
しなければなりません。
例えば、
- 人件費削減
- 家賃見直し
- リストラ
- 外注削減
などが必要になります。
しかし固定費削減は、
会社の体力を削ることもあります。
特に人件費削減は、
社員の士気低下につながります。
短期的には利益が出ても、
長期的には逆効果になるケースも少なくありません。
事例⑤
原価削減にも限界がある
原価感度を計算すると、
500万円 ÷ 6,000万円 = 8.3%
です。
つまり、
原価を8.3%下げる必要があります。
製造業なら、
- 材料変更
- 外注変更
- 品質見直し
などが必要になります。
しかし原価削減をやりすぎると、
品質低下が起こります。
実際に、
「安い材料へ変更した結果、クレームが増えた」
という会社は非常に多いです。
なぜ「値上げ」が最強なのか?
ここまで整理すると、
必要な変化率はこうなります。
| 方法 | 必要変化率 |
| 値上げ(P) | 5.0% |
| 原価削減(V) | 8.3% |
| 客数増加(Q) | 12.5% |
| 固定費削減(F) | 14.3% |
つまり、
最も少ない変化で利益を増やせるのが、
「価格改善」なのです。
これがMQ会計の結論です。
事例⑥
値上げできる会社とできない会社の違い
ここで多くの社長が言います。
「でも値上げなんてできない」
しかし実際には、
値上げできる会社には共通点があります。
それは、
「価格ではなく価値で選ばれている」
ことです。
例えば、
- 対応が早い
- 提案力がある
- 専門性が高い
- 安心感がある
- アフター対応が良い
会社は、
多少高くても選ばれます。
逆に、
「安さだけ」で選ばれている会社は、
永遠に価格競争から抜け出せません。
事例⑦
たった500円値上げした工務店
ある工務店では、
毎月の利益がほとんど残っていませんでした。
そこで社長は、
「契約後フォロー」
を強化しました。
- LINE相談
- 定期点検
- 動画説明
- 保証強化
などを実施した結果、
顧客満足度が上がりました。
そして平均単価を5%値上げしました。
すると売上はほぼ変わらないのに、
利益だけが大きく増えました。
社長は、
「今まで安売りしすぎていた」
と話していました。
決算書の見方が変わる
MQ会計を学ぶと、
決算書の見方も変わります。
例えば、
売上高経常利益率
これは単なる利益率ではありません。
実は、
「P(価格)の利益感度」
を表しています。
つまり、
この数字が低い会社ほど、
「少しの値上げで利益が激変する」
ということです。
社長が本当に見るべき数字
多くの会社は、
売上ばかり見ています。
しかし重要なのは、
- 粗利率
- 利益率
- 固定費率
です。
なぜなら、
会社を生かすのは「利益」だからです。
売上が増えても、
利益が残らなければ意味がありません。
MQ会計は「経営判断」を変える
MQ会計の最大の特徴は、
「利益から逆算する」
点にあります。
普通の会計は、
売上-経費=利益
です。
しかしMQ会計では、
「いくら利益を出したいか」
を先に決めます。
そして、
- 値上げするのか
- 客数を増やすのか
- 原価を下げるのか
- 固定費を削るのか
を数字で判断します。
これは、
経営を「感覚」ではなく、
「科学」に変える考え方です。
まとめ
利益改善は「売上アップ」だけではない
多くの会社は、
利益が苦しくなると、
まず売上拡大を考えます。
しかしMQ会計で分析すると、
最も利益へ効くのは、
「価格改善」であることが分かります。
もちろん、
無理な値上げは危険です。
しかし、
- 提供価値を高める
- 安売りをやめる
- 強みを明確にする
ことで、
価格競争から抜け出せる会社は多くあります。
これからの時代は、
「どれだけ売るか」より、
「どれだけ利益を残せるか」
が重要になります。
ぜひ一度、
自社の利益感度を計算してみてください。
きっと、
今までとは違う景色が見えるはずです。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


