26/7/24配信:高く買った不動産、その差額は「営業権」になるの?
投稿日:2026年07月24日
朝4時起きの税理士、丸山です。
小学2年生の娘に
「日帰りでいける場所ならどこか行けるよ」
と伝えたところ、
娘はおもむろに学校支給のパソコンを開いて、
Googleの検索窓に
「日帰り 行けるところ」と打ち込み始めました。
以前なら「どこ行きたい?」と聞けば
「うーん……」と首をかしげるだけだったのに。
わからないことは自分で調べる。
当たり前のようで、これが自然にできるのが
今の子どもたちの世代なんだと、
少し感慨深くなりました。
さて、不動産オーナーや
経営者から、
こんな質問をいただきます。
「相場より高い金額で
不動産を買ったんだけど、
時価との差額は営業権になるの?」
結論からお伝えしますと、
単なる空き地や投資用ビルを
どれだけ高く買ったとしても、
「営業権」は一切発生しません。
国が認める営業権とは、
お店のブランド力や顧客基盤、
長年築いたノウハウなどのことです。
つまり、会社が他社よりも
高い利益を上げるための
「目に見えない価値」を指します。
そのため、単なるモノとしての
不動産売買ではなく、
ホテルや飲食店などを
ビジネスごと丸ごと買い取る
「事業譲渡」で初めて登場します。
■ 営業権の金額はどうやって計算するのか
実は、最初から金額が
決まっているわけではありません。
営業権は「最後」に計算されます。
事業を買い取る場合、
まずは引き継ぐ対象となる
「土地」や「建物」といった
目に見える固定資産を、
現在の「時価」で評価します。
固定資産を時価評価した後、
支払った買収総額から
その時価の合計額を差し引きます。
その結果、買収総額のほうが
高かった場合の「残った差額」が、
最終的に営業権になるのです。
■ 具体的な数字で見てみましょう
たとえば、営業中の店舗事業を
総額「1億円」で買ったとします。
引き継いだ資産を時価評価したら、
土地3,000万円、建物2,000万円、
在庫や売掛金などその他の資産が
5,000万円だったとします。
目に見える資産の時価合計は
「1億円」になります。
支払った1億円から
この1億円をそのまま引くと
差額はゼロ——つまり営業権なし。
では、同じ事業を
「1億5,000万円」で買った場合は?
資産の時価合計1億円を引いた
「残りの5,000万円」が、
具体的な営業権の金額となります。
■ 買う側の節税メリットと注意点
この営業権ですが、買う側にとっては
「5年間で小分けにして経費(減価償却)にできる」
という大きな節税メリットがあります。
だからといって、経費を増やそうと
固定資産の時価をわざと低くして、
営業権の金額をわざと大きくするような
無理な割り振りをすることは厳禁です。
税務調査で否認されるだけでなく、
高値で買ったのに儲からなかった場合、
経営陣が責任を問われる法的なリスクも
潜んでいるからです。
■ 相続税にも「営業権」は顔を出す
さらに、この営業権は事業譲渡やM&Aだけでなく、
「相続税」のときにも顔を出します。
個人事業主の方が亡くなって
事業を家族が引き継ぐとき、
相続などで同族会社の株式を承継するときに
その事業、会社に高い収益力があれば、
営業権として相続税がかかります。
相続税での計算は、以下の3ステップです。
① 過去3年間の平均利益から
国が定めた「標準企業者報酬額」を差し引く
② さらに「総資産×5%」を差し引く
(普通に経営すれば出るはずの利益分)
③ 残った「超過利益」に
国が定めた複利倍率(約10年分)をかける
そうして算出された金額が、
営業権の相続税評価額になります。
ただし、ここには例外があります。
医師や弁護士などのように、
「亡くなった本人の腕や才能」だけで
成り立っていた事業の場合は、
営業権の価値はゼロ円と評価されます。
自社の価値が「仕組み」なのか、
それとも「社長個人の能力」なのかで、
将来の相続税が大きく変わるのです。
■ 測りにくいからこそ、チャンスがある
このように、一言で営業権といっても、
目に見えないものであり、
非常に測りにくいのが実態です。
しかし、測りにくいからといって
放置することはできません。
そこには必ず「税金」がかかってくるからです。
裏を返せば、この複雑さの中にこそ
事前の工夫やスキームの組み方次第で
経営の力に変えていける「チャンス」があります。
目に見えない価値をどう扱い、
いかにして次世代に引き継ぐか。
丸山会計事務所では、不動産税務や
組織再編税制の専門知見を活かし、
皆様の円滑な事業承継や再編を ともに未来を描いていきます。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


