26/5/22配信: 「銀行との会話」まで見られていた総則6項で否認された非公開裁決
投稿日:2026年05月22日
お世話になっております。
丸山会計事務所の
丸山です。
毎朝4時に起きると、
5月とはいえ、外はすでに
うっすらと明るくなっています。
家族がまだ眠る
寝室の横で、最新の税務動向を
チェックするのが、
私の大切な日課です。
さて、本日は、
最近明らかになった
「非公開裁決」という、
公には出回りにくい
非常に重い事例を
さらに深掘りして
シェアします。
不動産を使った
相続対策に、
一石を投じる内容です。
結論から申し上げます。
「亡くなる直前の3か月に
何億円もの不動産を
借金で買いまくる行為」
これは、税務署だけでなく
国税不服審判所からも
「適法(処分は正しい)」と
言い渡されました。
事実はこうです。
被相続人(亡くなった方)が
入院し、集中治療室に入る
深刻な状況になりました。
その入院期間中の
「約3か月間」に、
ご親族が代理人となって、
なんと5件もの
高額不動産を
次々と購入したのです。
金額の規模も
桁違いでした。
〇銀行からの借入:約15億円
〇不動産の購入額:約18億円
一般的に、賃貸不動産は
建物の評価が下がったり、
貸家建付地の評価減などが
適用できるため、
相続税の評価額が
実際の購入額より
大きく下がることがあります。
今回も、国のルールである
「財産評価基本通達」通りに
計算した結果、
財産価値は
約3億8,000万円まで
圧縮されました。
日本の相続税は、
「財産 − 借入金」で
計算される仕組みです。
そのため、
不動産の評価額が
大きく下がる一方で、
15億円の借入金は
そのまま全額マイナス
できることになります。
結果として、相続税は
計算上「ゼロ」として
申告されました。
申告書を出したご親族は、
「これは本人が単独で
決断した資産運用だ」
「国のルール通りに
計算したのだから問題ない」
と主張しました。
しかし、
国税不服審判所は
その言い分を
認めませんでした。
なぜなら、税務調査では、
銀行や不動産会社との
やり取りも含め、
その実態が非常に細かく
確認されていたからです。
審判所が厳しく指摘した
「3つの事実」がこちらです。
1.不動産会社との会話
親族は「本人が決断した」と
主張しましたが、
不動産会社への依頼内容は、
「相続用にマンションを
5件ほど探してほしい」
というものでした。
しかも、業者は
亡くなった本人と
一度も面会すら
していませんでした。
2.金融機関(銀行)との会話
融資の際、銀行の担当者から
「借入で不動産を買うと、
相続税の節税メリットが
ありますよ」
という説明が明確に
なされていました。
3.実行されたタイミング
これら一連のやり取りが
行われていたのは、
本人が集中治療室で
治療を受けていた時期です。
近い将来に
相続が起きることを
完全に見越して、
急いで企画・実行したと
判断されました。
結果として、
ルール通達通りの評価
(3億8,000万円)は否認。
ここで税務署が
持ち出してきたのが、
「財産評価基本通達
総則6項」という
いわゆる
『伝家の宝刀』でした。
この「総則6項」とは、
「ルール通りに計算して
評価額が下がりすぎ、
実質的に不公平な場合は、
税務署長(国税庁長官)の
判断で、別の正しい方法で
評価し直して良い」
という、
究極の例外規定です。
税務署はこの武器を使い、
独自に算出した
「鑑定価額:約13億8,000万円」
をベースにして、
大幅な増額更正
(多額の追徴課税)の
処分を下したのです。
「相続のあと、すぐに売却しなかったから
節税目的ではない」
という親族の反論も、
審判所は「関係ない」と
一蹴しています。
ここまでは、
税務署が個別に
「総則6項」を発動して
対策をひっくり返したという、
事例のお話です。
しかし、本当に注目すべきは
「これからの未来」です。
実は、最新の令和8年の税制改正で、
このように毎回、税務署が「総則6項」をわざわざ
発動しなくても、
システムとして
自動的に網をかける
新ルールが発表されました。
それが、
「貸付用不動産の評価方法の見直し」です。
閣議決定された
税制改正大綱によると、
「令和9年(2027年)1月1日以降」の相続から、
『取得してから
5年以内に相続が起きた貸付用不動産』は、
これまでの通達による
低い評価額ではなく、
「実際の取得価額等」を
基礎とした評価へと
見直される方向にあります。
つまり、これまでは
税務署が個別の実態を見て
ひっくり返して
いたものが、
令和9年以降は、
「5年以内の取得なら、
原則として厳しいルールで
自動的に計算される」という、
明確な基準で
縛られることになります。
これにより、
これまでの「短期・駆け込み型」の
不動産節税は、
極めて難しくなると
言わざるを得ません。
不動産を活用した
相続対策や資産防衛は、
今でも極めて有効な手段です。
しかし、これからは
今まで以上に、
「お元気なうちから」
「長期的な視点で(5年以上)」
「正当な理由を持って」
計画的に行うことが
絶対条件になります。
「まだ先のことだから」と
後回しにしていると、
いざという時に
選択肢が狭まってしまいます。
会社の組織再編や、
一族の資産防衛を
考える際は、
ぜひ「時間的な余裕」を
持ってご相談ください。
時代に合わせた、
確実で歪みのない
本物の対策を、
一緒に組み立てましょう。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


