26/5/1配信: 【ご質問回答】会社への無利息貸付け、どこまで許される?
投稿日:2026年05月01日
おはようございます。
丸山会計事務所の丸山です。
私は毎朝4時に起きて
仕事をスタートさせていますが、
この静かな時間が一番捗ります。
さて、本日は読者の方からいただいた
リクエストにお答えする形で、
少し深掘りしたお話をさせていただきます。
テーマは、
「役員借入金の利息」
についてです。
社長がご自身のポケットマネーを
会社に貸し付けているケースは
非常に多いですよね。
「自分の会社なんだから、
利息なんて取らなくていいだろう」
そうお考えになるのが、
実務上の一般的な感覚です。
実際、数百万円から数千万円程度の
一時的な貸し付けであれば、
無利息であっても
税務署からとやかく言われることはまずありません※。
※こちらは完全に私見です(笑)
しかし、最近の裁決事例を見ると、
その「常識」が通じない
「危険なライン」が見えてきました。
直近で無利息が否認された事例を
いくつか挙げてみます。
・令和7年の裁決:約23.4億円
・令和6年の裁決:約81億円
・平成16年の最高裁:約3,455億円
いかがでしょうか。
桁が違いますよね。
特に令和6年の裁決では、
「80億円も貸しているのに
無利息というのは一般的ではない」
と、バッサリ斬られています。
実は、私自身が直接関わった
案件ではありませんが、
過去に「数千万円後半~1億円」を超えたあたりで
所得税の修正申告をしている事例を
目にしたことがあります。
おそらく税務当局とのやり取りの中で、
そのあたりが「落とし所」として
意識されたのでしょう。
では、なぜそもそも
「個人から会社への貸し付け」は
原則として無利息で良いとされるのか?
そこには、所得税法の仕組みと、
「個人」という存在の特性による
3つの理由があります。
1.「収入実現主義」の大原則
所得税は、実際に手元に
お金が入ってきた時に課税されます。
利息を1円も受け取っていないなら、
「所得はゼロ」と考えるのが
法律のスタート地点なのです。
2.法人と個人の性質の違い
会社(法人)は営利目的の存在です。
ですから、タダで貸すような行為は
「本来もらうべき利益を捨てた」
とみなして課税されるルールがあります。
一方、個人は家族への援助など、
「善意」で動くこともある存在です。
すべての無償行為に課税するのは、
社会通念上、おかしいですよね。
3.明確な「みなし規定」がない
不動産を法人、個人へタダで売った場合には、
「時価で売ったとみなす」
という特別なルールがありますが、
「お金の貸し借り」については、
これを直接取り締まる条文が
今の法律には存在しないのです。
これだけ聞くと、
「じゃあ、いくら貸しても安心だね」
と思われるかもしれません。
しかし、ここに
「伝家の宝刀」が隠されています。
過去の裁決や裁判で、
役員側に所得税の追徴課税が
課されているケース。
そこで使われているのが、
所得税法第157条、
「同族会社等の行為又は計算の否認」
という規定です。
あなたが支配している会社との間で、
あまりに不自然で多額な
無利息貸し付けが行われ、
「これは税逃れのためにわざとやっているな」
と判断された場合、
税務署はこの規定を使って
「原則」をひっくり返してきます。
「本来受け取るべき利息を
受け取ったものとして税金を払え」
というわけです。
金額が数億円単位になる場合や、
会社に利息を払う余裕が十分あるのに
あえて無利息で放置している場合は、
この「刀」が抜かれるリスクが
極めて高くなります。
不動産税務や組織再編など、
大きなお金が動く場面では、
この「常識のズレ」が
致命傷になることもあります。
「うちは大丈夫だろう」と過信せず、
心配な方はあらかじめ
適正な金利(市中金利)を
設定しておくことをお勧めします。
一度、御社の帳簿に載っている
「役員借入金」の残高を
チェックしてみてくださいね。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


