26/9/11配信:延滞税の計算が、税理士でも難しい4つの理由
投稿日:2026年09月11日
朝4時起き名古屋の税理士、丸山です。
雨でびしょ濡れになりながら
幼稚園からお迎えの要請に
少し頼られたと思う丸山です。
前回のメルマガでは、
一回限りのペナルティである
「加算税」を解説しました。
今日は、もう一方の
「延滞税」を解説します。
こちらは、日数に応じて
増えていく利息です。
正直に申し上げます。
延滞税の計算は、
税理士でも間違えることがあります。
理由は4つあります。
まず、その4つを見ていただき、
最後に実際の数字で
計算してみます。
■ 理由1:割合が2段階ある
延滞税の割合は、
途中で跳ね上がります。
〇 納期限の翌日から2ヶ月まで
・年2.8%(令和8年)
〇 2ヶ月を過ぎた日から
・年9.1%(令和8年)
本税200万円で計算すると、
こうなります。
〇 最初の2ヶ月
・1日あたり:約153円
→ 毎日、自販機の缶コーヒーを
1本、勝手に買われている状態です。
〇 2ヶ月を過ぎた後
・1日あたり:約499円
→ 缶コーヒー1本だったものが、
スターバックスの
ドリップコーヒー(Grande:485円)
1杯に化けます。
しかも、お釣りは出ません。
ちなみに、スターバックスには
「ワンモアコーヒー」があり、
同じ日の2杯目は210円になります。
残念ながら、延滞税に
2杯目割引はありません。
法人税には法人税の延滞税、
消費税には消費税の延滞税が、
それぞれ別々に走ります。
売上の計上漏れが1件見つかれば、
追徴されるのは法人税だけではない。
消費税もあります。
つまりメーターは1本ではなく、
2本、場合によっては3本、
同時に回っているのです。
■ 理由2:「2ヶ月」の起算日が、
過去の期限ではない
ここが最も誤解されるところです。
「数年前の申告を直すのだから、
2ヶ月なんてとっくに過ぎている。
いきなり9.1%だろう」
そう思われるかもしれません。
しかし、そうではないのです。
ここでいう「納期限」とは、
修正申告の場合、
申告書を提出した日のことです。
つまり、何年越しの修正申告でも、
提出した日から2ヶ月以内に
納付を済ませれば、
高い方の割合は1日も発生しません。
メーターは、修正申告という
あなたが動いた日に
一度リセットされ、
低い方から回り直すのです。
■ 理由3:割合は「年ごと」に変わる
延滞税の割合は、
毎年見直されます。
〇 令和7年:2.4%/8.7%
〇 令和8年:2.8%/9.1%
計算期間が数年にまたがる場合、
期間を年で区切って、
それぞれの割合で計算します。
「1つの計算式で終わり」
とはいかないが難しいところです。
■ 理由4:丸ごと除外される期間がある
延滞税には
「除算期間」という特例があります。
期限内申告書を出していれば、
法定申告期限から1年を超えた期間は、
延滞税の計算から
まるごと除外されるのです。
つまり、2年後に誤りに気づいても、
利息がかかるのは
最初の1年分だけになります。
ただし、この特例を
使える方と使えない方がいます。
使えるのは、次の2つの場合だけです。
〇 期限内申告書を
出していた場合
〇 期限後申告書を出した後、
さらに1年超経ってから
修正申告をした場合
逆に言えば、
無申告のまま放置していて、
後から期限後申告を出す場合、
この特例は使えません。
では、この差が
いくらになるのか。
実際に計算してみます。
■ 前提
たとえば、次のケースで考えます。
〇 追加で納める本税
・200万円
〇 時系列
・2024年3月15日:本来の申告期限
・2026年5月15日:誤りに気づき、
自主的に申告書を提出、同日に納付
・税務署から調査の連絡は
来ていない
この状況で、
〇 A:期限内に申告書を
出していた方(今回、修正申告)
〇 B:無申告のまま
放置していた方(今回、期限後申告)
この2人を比べてみます。
■ A:期限内に申告書を出していた方
理由4の除算期間が使えます。
利息がかかるのは、
2024年3月16日からの1年分だけ。
それ以降、修正申告を出す日までは、
まるごと計算から除外されます。
〇 延滞税:4万8,000円
〇 過少申告加算税:0円
加算税がゼロなのは、
前回解説したとおり、
調査の連絡が来る前に
自主的に修正したからです。
合計:4万8,000円
■ B:無申告のまま放置していた方
こちらには、除算期間がありません。
放置していた2年2ヶ月分の利息が、
まるごとかかり続けます。
〇 延滞税:約10万7,000円
〇 無申告加算税:10万円
前回の追伸でも触れましたが、
無申告加算税は自主的に申告しても
本税の5%がかかります。
ゼロにはならないのです。
合計:約20万7,000円
■ その差、約16万円
同じ200万円の申告漏れです。
気づいた時期も、
自主的に動いた点も同じ。
違うのは、
「期限内に申告書を1枚
出してあったかどうか」だけです。
期限内申告書を期日内に提出することは
まさに保険の役割もあるのです。
それだけで、約16万円。
iPhone 1台分の差が出るのです。
■ もし、納付を後回しにしたら
最後に、もう1つだけ。
Aの方が正しく修正申告を出した後、
「そのうち払えばいいか」と
1年間放置したとします。
理由1と理由2で見たとおり、
最初の2ヶ月は年2.8%、
それ以降は年9.1%です。
延滞税は、
約16万1,000円になります。
もし低い方の割合のままなら、
約5万6,000円で済んでいました。
その差、約10万5,000円。
うちの上の子が欲しい
Nintendo Switchが2台購入できます。
しかも、延滞税も加算税も
経費(損金)になりません。
約16万円を払うには、
税引前で約24万円を
稼ぎ直す必要があります。
せっかく期限内申告という
保険をかけておきながら、
最後の2ヶ月で
台無しにしてしまうのは
もったいない話です。
■ 覚えていただきたいのは3つだけ
計算方法は複雑です。
しかし、経営者として
押さえるべきことは、
次の3点に尽きます。
〇 期限内に、申告書を出しておく
〇 誤りに気づいたら、
調査の連絡が来る前に動く
〇 修正申告を出したら、
2ヶ月以内に納める
この3つを守るだけで、
負担は数分の1になります。
今日の内容は非常に重要ですので、
覚えておいてくださいね。
「あの申告、大丈夫だったかな」
そう思い当たる方は、
放置せずご相談ください。
追伸
理由4でご紹介した除算期間は、
隠ぺいや仮装があった場合
(=重加算税が課されるケース)
にも使えません。
うっかりのミスには、
救済の道が用意されている。
しかし、意図的な不正には、
一切の手加減がない。
制度は、正直な人の味方です。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


