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所得税法基本通達59-6 取引相場の無い株式の評価

投稿日:2021年02月06日

評価会社が持つ株式の子会社株式の評価について

実務家であれば、だれでも悩む問題があります。

取引相場の無い株式を売買を行う場合に必ず問題となるのが時価という定義です。

その時価の評価を行う税理士であれば、必ず一度は悩む問題として、所得税法59-6と法人税法基本通達9-1-14の存在があります。

所得税法基本通達59-6は、個人が法人(同族会社)に譲渡所得の対象となる、土地や株式等を譲渡した場合に

売買金額が著しく低い場合には、売買金額を時価に引き直して譲渡所得税の計算を行うというものです。

 例)A社株式、時価1,000円 取得価額100円 売買金額200円で売買

  所得税:(200円-100円)×20%=20円 

時価より著しく低い価額で売買しているため、時価により譲渡したものとして計算を行う、ため

 所得税:(1,000円-100円)×20%=180円 

 代金を200円しかもらっていないのに、180円税額が出るという恐ろしいことになります、

税務に関する専門家であれば、後々問題とならないように株式の所得税法・法人税法の時価を計算し、

時価で売買するようにクライアントに案内し、譲渡所得の金額を計算します。

 しかし、その所得税法及び法人税法の取引相場の無い株式の時価に関する規定が今まで曖昧で、毎回実務家を悩ませていましたが、令和2年3月24日に最高裁判決の判例がでました。(TAINSコード:Z888-2296)

今回判事された時価の意義について、なぜ相続税評価額である類似業種比準価額は採用されたのか?

という問題はありますが、判断の方向性としては一定の方針が示されたのではないかと思います。

 問題は、それに伴って分かりにくい法律を、変えることが望ましいという意見が判事からあり、法律を変更するにあたって国は「変えたいと思うのですが、意見はありますか?」とパブリックコメントを募集したところ、

問題の文章がありました。

それは、その評価会社の株式を評価するときの、その評価会社が保有する子会社の株式の評価方法をです、いわゆる子会社株式の評価です。

いままでは実務的な規定は無く、関連書籍には、子会社株式は相続税評価額により評価しても問題はないと書かれていました。(子会社が大会社なら、類似業種比準価額、子会社が小会社なら、純資産評価額など相続税法によって計算すれば問題がありませんでした。)

私自身の税務署に事前紹介をかけた案件でも、子会社の株式は相続税評価額で評価しても問題は無いと回答得ておりました。

 しかし、今回のパブリックコメントでは、評価会社を小会社方式で評価する場合(一般的には組織再編や譲渡する場合等で、相続、贈与は相続税評価額)には、その評価会社が所有する子会社株式も小会社方式により評価を行うことが通達の趣旨から鑑みると、小会社方式により評価することとなると考えられます。

 おって今後国税庁のホームページで上記の取扱いの解説を掲載する予定です。と記載されております。パブリックコメント番号4

https://nagoya-tax.net/wp/wp-content/uploads/2020/10/200828paburixtukukomennto.pdf

今後はHD会社の株式の評価を行う場合には、その下の事業会社などの評価については、注意する必要が出てきます。

事業承継にかかる株式の評価、事前対策は丸山会計まで。

この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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