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土地の固定資産税はどう決まる?住宅用地の特例で節税を

投稿日:2022年09月21日

土地、建物を所有していると固定資産税が課税されます。金額が自治体から通知されて払う税金ですが、一体どのように計算されているのでしょうか。

このコラムでは、土地の固定資産税の計算方法の概要と、税金が減額される住宅用地の特例をご紹介します。また、固定資産の評価が地目に影響を受けること、地目が登記簿上のものではなく、実質的用途で判断されているので納税者がコントロールはできないことをご紹介します。

1.固定資産税の計算方法と経理処理

固定資産税は、1月1日時点で、土地、建物などの固定資産を所有している方が課税される税金です。ここでは、中でも「土地」の固定資産税がどのように計算され、どのように課税されるのか、そして経理処理についてご説明します。

固定資産税は賦課課税方式

固定資産税は、各自治体が固定資産の評価をして、その金額をもとに税額を計算します。つまり各自治体が税額を確定する賦課課税方式なのです。納税者が税務署などへ申告をして、税額が確定する申告納税方式とは異なります。

土地の固定資産税の計算方法

土地の固定資産税の、具体的な計算式は以下のとおりです。

固定資産税=土地の評価額(課税標準額)✕標準税率(1.4%)

固定資産税の計算の基となる土地の評価額を決定するためには、固定資産税評価額にかかる路線価(相続税の路線価とは別物)というものがあります。その路線価×面積で計算された固定資産税評価額に一定に割合を乗じて計算した金額が、固定資産税課税標準額となります。

標準税率はほとんどが1.4%ですが、各自治体が自由に決められるため、まれに1.4%と異なる自治体もあります。

原則として都市計画法に基づく「市街化区域内」に土地を所有している場合には、上記に加えて都市計画税0.3%が課税されます。こちらも、税率は自治体によって異なる場合が、まれにあります。

固定資産税の経理処理

固定資産税は、一括で支払う以外にも、年に4回に分けて支払うことも可能です。固定資産税の経理処理には、以下の方法があります。

  1. 賦課決定のあった日(納税通知書が交付された日)の属する事業年度で損金に算入
  2. 実際に固定資産税を支払った日に損金に算入
  3. 分割された年4回の支払納期の開始日に損金に算入

基本的には、2の処理を行っている方が多いです。未払であっても損金に計上することができるので、もし支払った日に損金計上しているものの経費を増やしたい場合には、1の未払計上を検討しましょう。

年の途中で売買した場合は?

固定資産税は、1月1日時点での所有者に課税されます。1年分の固定資産税は、課税された方が納付する義務があります。

もし年の途中で土地を売買した場合には、買主負担分の期間の固定資産税は、土地の購入代金と一緒に売主に支払うのが一般的です。納税義務が、年の途中で移転する訳ではありません。

そのため、違うブログで解説を行っていますが、固定資産税評価点数表を開示してもらうためには、購入初年度は前所有者委任状が必要になります。

2.土地の固定資産税評価額はどう決まる?

土地の評価額(課税標準額)はどのように決まるのでしょうか。課税標準額は、固定資産税評価額に一定に割合を乗じて計算を行います。そして固定資産税評価額は固定資産税評価額用の路線価に㎡を乗じて計算を行います。おおむね時価(近隣公示価額)の70%くらいになっていますが、計算過程で影響する事項についてご紹介します。

地目によって評価の仕方が異なる

土地の評価の仕方は地目によって異なります。固定資産税の評価を決めるための地目の種類は「宅地」「田」「畑」「山林」などです。そしてそのどれにもあてはまらないものを「雑種地」としています。一般的に「更地の宅地」と「雑種地」は評価が高い傾向にあります。

登記簿上の地目とは異なる場合がある

どの地目で評価されているかは、固定資産税の通知書で確認してみましょう。固定資産税の評価を決める地目の種類は、登記簿上のものとは異なる場合があります。

もし地目を変更した場合、1月以内に登記を変更しなければなりませんが、実務上は守られずに、そのままとなってしまうケースも多くあります。しかし、固定資産税は実態に合った地目で課税するために、自治体が現況を確認して評価をしています。

この現況調査は3年に1度おこなわれており、納税者側で故意に低く評価される地目にするようにコントロールすることは難しいでしょう。

例えば、畑を駐車場にした場合を考えてみます。駐車場は雑種地にあたり、畑よりも固定資産税評価額は高くなるのが一般的です。もし登記は変更せずに「畑」のままとなっていても、駐車場となっている現況を自治体は確認をして、雑種地として固定資産税を課税してくるでしょう。自治体は実質課税をしているといえます。

地目に関わらず、客観的な時価で評価される~宅地並み課税

ただし固定資産税評価額は地目にかかわらず、実際の適正な時価に比例するように計算をします。

例えば、農地は宅地よりも固定資産税評価額は低いことが一般的ですが、市街化区域内の農地は、農地であっても実際の取引価格は宅地並みなケースがあります。そしてこのような土地は、将来宅地となる可能性が高いです。この場合は宅地と同様の課税をするという「宅地並み課税」がなされています。固定資産税は、地目だけでなく、実際の適正な時価を考慮して課税するのが基本です。

また、太陽光発電設備を備えた土地についても、宅地並み課税がされるケースがほとんどです。例えば、山林にソーラーパネルを設置した場合は「山林」ではなく「雑種地」として宅地並み課税がされてしまいます。

地目が変わっていなかったとしても、固定資産税の課税明細をよくみると、㎡あたりの単価が明らかに異なっていることが分かる場合があります。

3.土地の固定資産税を減らすには?住宅用地の特例

納税者側で、固定資産税を節税する方法はあるのでしょうか。方法のひとつとして、土地の上に住宅を建てると、住宅用地の特例により、固定資産税を軽減できます。

固定資産税について、住宅用地の軽減措置の概要は以下のとおりです。

  • 住宅一戸あたり200㎡までの「小規模住宅用地」については、固定資産税評価額の6分の1を課税標準額とする
  • 200㎡を超える部分は「一般住宅用地」として、固定資産税評価額の3分の1を課税標準額とする

都市計画税の軽減措置は、以下のとおりです。

  • 住宅一戸あたり200㎡までの「小規模住宅用地」については、固定資産税評価額の3分の1を課税標準額とする
  • 200㎡を超える部分は「一般住宅用地」として、固定資産税評価額の3分の2を課税標準額とする

このように、更地よりも住宅が建っている土地のほうが固定資産税は低く抑えられるようになっています。実際にご自身が住む住宅だけでなく、アパートやマンションを建てて不動産投資をおこなう場合も軽減措置が適用されるので、土地を活用する場合には念頭に置いておきましょう。

なお、店舗兼住宅の場合には、居住用割合に応じて特例が適用されます。店舗を住宅に変更した場合、特例を受けるためには自治体に届出をした方が安心です。

もし更地であるにも関わらず住宅を建てない場合は、駐車場などで活用し収入を得ることを検討しましょう。更地で活用せずにいても、所有していれば固定資産税は課税されます。

住宅用地の特例は駐車場には適用されないので、固定資産税自体は軽減されませんが、土地を活用すれば資金を得られます。

4.まとめ

以上、土地の固定資産税がどのように計算されているかについて、ご紹介しました。

固定資産税は実質課税であり、かつ納税者側で節税をすることは難しいです。しかし住宅用地の特例がありますので、固定資産税を減額したい方は念頭に置いておくとよいでしょう。

また、固定資産税は賦課課税方式です。自治体によって税額が決められてしまうので、もし、現況と異なる地目となっている、固定資産税評価額が近隣と比較して高く感じる、など疑問点があった場合は自治体へ問い合わせをしてみるのもよいでしょう。

現に計算が間違っているが、そのまま進んでいるということは多々あります。見直しを行ってみると、自治体の計算誤りなどが多々あり、過大に納税しているということもありますので、一度計算過程を見直してみることも大事だと思います。

この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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